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『環境建築』、『公共建築』、『耐震設計』、『住宅』を中心に活動する

建築設計事務所です。興味がありましたらHPをご覧ください。

廣瀬所長のコラム
■ サスティナブル「持続可能」な建築の風を求めて

 建物を設計する立場から感じられることは、現代の社会が余りにも技術ばかりに頼っているという事実である。「最新技術をもってすれば不可能はない」という短絡的な思考から、「不可能を可能にするための技術革新を続けていけば、やがて理想郷も夢ではない」という人類特有の向上心が、今爆発的なエネルギー消費を生み出している。豊かな経済と、医学的な進歩に支えられた人口増加といった問題と相まって、自然環境に取り返しのつかないダメージを与え続けている。
 現代の建物は外界との関係を遮断し、住人をエアコンと電気照明の中に閉じ込めている。昼間はダクトやファンから吐き出される風に吹かれ、照明の光の下で1日中仕事をしている。こんな環境がはたして人間に好いのであろうか。この環境では肉体的にも、精神面にも充実した生活は望めない。このような状況に永年ならされているため、本当に快適な風や光、音がどんなものであったのか忘れてしまっているのではないだろうか。
 日本を高度成長に導いたのは驚異的な技術革新によるものであることは否定できない。しかしながら日本人の本来の生活スタイルは、最新のテクノロジーにより制御された空間の中ではなく、縁側から吹き込む風や差し込む光、木々の緑、鳥のさえずりと共にあったのではないだろうか。高温多湿な夏や、木枯らしの吹く季節と上手く付き合う智恵を、建物の中に蓄積して来たといえる。
 より環境負荷のかからない機器を作るための技術革新は、当然今後も継続して進められる文明ではあるが、建物の設計にあたっては、温暖化の原因である大気中の二酸化炭素などの増大の抑制のためにも、石油等化石燃料に依存しない風、太陽エネルギーの活用や緑化等、環境をふまえたサステイナブルな提案を皆様としてまいりたいと考えております。

 

■ 2010年4月
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